原題 Tora-san's Runaway
製作年 1970年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 88分
監督 山田洋次
脚本 山田洋次 、 宮崎晃
原作 山田洋次
企画 高島幸夫 、 小林俊一
製作 小角恒雄
音楽 山本直純
主題歌 渥美清
キャスト
車寅次郎 渥美清
諏訪さくら 倍賞千恵子
車竜造 森川信
つね 三崎千恵子
諏訪博 前田吟
川又登 秋野太作
梅太郎 太宰久雄
御前さま 笠智衆
三浦節子 長山藍子
母富子 杉山とく子
木村剛 井川比佐志
竜岡親分 木田三千雄
その子分 谷村昌彦
石田澄雄 松山政路
源公 佐藤蛾次郎
マドンナ / 長山藍子
ゲスト / 杉山とく子、井川比佐志
ロケ地 / 北海道札幌、小樽、千葉県浦安
寅さんは旅先で、おいちゃんが病気で倒れる夢を見てそのことが気にかかり、故郷の葛飾・柴又に帰ってくる。
おいちゃんの車竜造は、たまたま遊びに来た隣家の工場主の梅太郎の横で、暑さのために、グッタリして、横になっているが、これを見た寅さんは「やっばりあの夢はほんとうだった」と手まわしよろしく帝釈天の御前様はじめ近所の人や、葬儀屋まで集めてしまう。
悪意がないとは知りながらも、生き仏にされてしまったおいちゃんの怒りは常にもまして激しく口論の末、大喧嘩となってしまった。
そこへ寅さんの舎弟登が、昔寅さんが世話になった札幌の竜岡親分が重病で、寅さんに逢いたがっていることを知らせに訪ねてくる。
義理と人情を信条とする寅さんは、さっそく登を連れて札幌に向かった。
やくざ渡世の末路のみじめさを思い知らされ、寅さんはやくざ稼業から足を洗うことを決意し、再び柴又へ帰って来た。
寅さんの突如の変貌ぶりにおいちゃんたちは目を丸くして驚ろくのだが、地道に、額に汗して働こうと、心に誓った寅さんは柴又とは目と鼻の先の浦安の町の豆腐屋「三七十屋」に住み込みで働くようになる。
この店は、母親のとみと娘の節子の二人暮しだが、寅さんの働きぶりに二人ともすっかり感心し、次第に心を許すようになってくる。
男はつらいよシリーズの5作目。
久しぶりに山田洋次がメガホンをとった。
当初は本作でシリーズを完結させる予定で、テレビドラマでさくら役を演じた長山藍子がマドンナとして、団子屋のおばちゃん役を演じた杉山とく子がマドンナの母役、博役を演じた井川比佐志が恋敵を演じるなど、作品を締めくくるため以前のキャストを総動員させたが、本作があまりの人気にシリーズは延長されることになった。
本作はオープニングから大爆笑の連続だ。
手際が良いのか悪いのか、余りにも先を読みすぎる寅さんは普通の人間には理解できない。
しかしそこには一欠片の悪意もないから憎みきれない…そんなやりとりが笑いを誘うし涙も誘う。
早とちりで勝手に恋をし、勝手に失恋してしまう。
とはいえ知ってか知らずか、いつもマドンナは鈍感だ。
こんな寅さんの気持ち、女なら普通気がつくよ。
これに誰よりもいち早く気づいて、心配して悲しむのは、いつもさくらだ。
いつものように失恋して去っていくわけだが、顔で笑って心で泣いて…可哀想で涙がこぼれる。